7年経った今も変わらない、僕のクラシックへの思い。
皆さんは、初めて購入あるいは、オーダーしたスーツのことを覚えていますか?
僕にとって初めてのオーダースーツは、20歳の成人式のために仕立てた一着でした。
あれから7年。
今では筋トレのおかげで身体が大きくなり、残念ながら着ることができません(笑)
それでも、ずっと手元に残している、僕にとっては非常に思い入れのある一着です。
今回、ESSEVEでオーダーを導入するにあたって、個人的にとても驚いたことがありました。
7年前に僕が初めてスーツを仕立てた工房と、今回ESSEVEで取り扱うオーダーの工房が同じだったんです。
偶然とはいえ、なんだか不思議な縁を感じます。
せっかくの機会なので、今回はそんな僕の原点ともいえる一着をご紹介したいと思います。
20歳の僕が、初めてオーダーした日。
今から7年前。
当時20歳だった僕は、今と変わらずクラシックな洋服がまっしぐらでした。
成人式には絶対にオーダースーツを着ていこう。
そう決めていたのを、今でもよく覚えています。
18歳から洋服の仕事をしていたこともあり、同年代の方と比べれば、多少は蓄えがあった方かもしれません。
それでも、僕にとってオーダースーツは決して安い買い物ではなく、かなり緊張しながら不安と期待が入り混じって注文した記憶があります。
ただ、今振り返ってみても、あの時に自分のお金でスーツを仕立てるという経験をして、本当によかったと思っています。やはり記憶に、心に残ってます。
一生懸命働いて、欲しいものを考えて、自分なりに納得のいく注文をする。
完成を待つ時間も、初めて袖を通した時の感動も、既製服を購入する時とはまた違った喜びがありました。
控えめに言って最高です。
細部には自分の好みを詰め込んだ一着。

そんな僕が当時目指したのは、決して目立ちすぎず静かに本物である主張ができる、まさにそんなスーツでした。
結果として、サイズアップによって長く着るという目標は叶わなかったわけですが……
デザインに関しては、今見返してもなかなか面白い一着に仕上がったと思います。
普遍的なチャコールグレーに、少し凝ったデザイン。

まず選んだのは、無地のチャコールグレー。
流行に左右されにくく、成人式だけでなく、結婚式や大切な式典など、さまざまな場面で長く着用できるスーツをイメージ。
色ダークトン柄無地まさに王道。
非常にベーシック。
ただし、デザインにはかなり僕の趣向を反映させています。
シングルのピークドラペルと段返り3ボタン

ジャケットは、シングルブレストのピークドラペル。
フロントは段返り3ボタンにして、Vゾーンは少し浅めに設定しました。
一般的なノッチドラペルのスーツと比べるでて、少し華やかで、ややクラシックな雰囲気が強く残るデザインです。
いまとこの辺りはあんまり変わらず、当時からこういうスーツが好きだったんですね。
6つボタンのダブル、ショールカラージレ

そして、個人的に特に肝いりだったのがジレです。
選んだのは、6つボタンのダブルブレストにショールカラーを組み合わせた仕様。
これは当時、ずっとやってみたかった仕様でした。
イタリアのガブリエレ・パジーニのような、クラシックでありながら少し色気のあるスーツスタイルに憧れていた影響もあったと思います。
今でも襟付きのダブルジレはちょくちょく着ます。
このあたりの好みは7年経ってもあまり変わっていません。
1インプリーツの細身のトラウザーズ

パンツは比較的ベーシックな1タック。
ただし、プリーツはインプリーツを選んでいます。
1タックでインプリーツ。
我ながら、目立たないけれど少し珍しい仕様を選んだものだなと思います。
しかし
今の僕のスタンダードと比べると、圧倒的にパンツが細い。
今ならもう少しボリュームを持たせて、生地のドレープ感を楽しめるようなシルエットにしたいところですが、当時はこういうすっきりとした細身のラインが好みだったわけです。
こうして昔の自分の服を見返すと、変わらない好みもあれば、少しずつ変化している部分もあって面白いですね。
オーダーならではの、細かなこだわり。
さて、ここからは細部を見ていきましょう。
今回のスーツは、あくまで普遍的なダークスーツを目指した一着。
その分、オーダーならではのこだわりは、細かいディテールに詰め込みました。
ナットボタン

まずはボタン。
本水牛でもよかったのですが、少しモダンで、ほんのり違いを作りたかったので、スーツと同系色のナットボタンを選びました。
ナットボタンは天然素材ならではの柔らかな表情が魅力で、使い込むことで少しずつ色味が変化していくのも面白いところ。
これは今見ても大正解だったと思っています。
7年経った今、すごくいい表情をしていて、硬派になりがちなチャコールグレーのスーツに、ほどよい温もりを感じさせてくれます。
スラント型のチェンジポケット

そして、当然のようにチェンジポケットも採用しました。
当時の僕は、身体にジャストでフィットするすっきりとしたサイジングが好みだったので、それに合わせてスラント型を採用。
ポケットの角度によって、腰まわりをシャープに見せることを意識しています。
こういうところにも、当時の自分の理想が垣間見えます。
ブルーの小紋柄キュプラ裏地

裏地は意外とやっていまね。
選んだのは、ブルーの小紋柄が入ったキュプラ裏地。
表地が無地のチャコールグレーなので、脱いだ時に少し遊び心が見えるような組み合わせにしました。
発色もよく、滑りのよさも抜群。
決して派手すぎず、それでいて自分の好みはしっかり主張できる。
個人的には、絶妙なラインに収まったと思っています。
本切羽と、左袖だけのブルーの色糸

袖元は、もちろん本切羽。
4つボタンの重ね仕様を選んでいます。
そして、左側の袖だけ、ボタンホールのかがり糸の色を変えました。
裏地に合わせて、さりげなくブルーを入れています。
この7年間で、誰かに気づかれたことは、確か2〜3回程度だったと記憶しています。
でも、それで十分。
こうした細かな仕様は、着心地を劇的に変えるわけでもなければ、スーツ全体の印象を大きく変えるわけでもありません。
それでも、やっぱりこういう細部への拘りは所有満足度を高めてくれる重要な要素です。
7年前の成人式を振り返って。

最後に、当時の成人式の写真を。
さすがに若いですね(笑)
というより、なんだか幼い気がします……。
スタイリングについては、チーフが少し出すぎているところを除けば、今見てもそこまで悪くないですね。
ネクタイの結び目も、僕の好きな細さとディンプルのバランスに収まっています。
少しはあの頃より成長できたでしょうか。
こうしてスーツを眺めていると、当時の自分がどんなことを考えていたのか、どんな気持ちで成人式に臨んだのか、いろいろな記憶がよみがえってきます。
記憶に残る一着を、これからは僕がお客様に。
今回、久しぶりにこのスーツを見返して、色々な記憶が蘇ってきました。
人々に記憶にのこる服って実はそんなに多くない。
例えば、自分が仕立てたスーツを見ることで、結婚式の記憶がよみがえったり。
お子様の入学式や卒業式、あるいは大切なパーティーの日でも構いません。
その服を見るだけで、当時の思い出が自然とよみがえってくる。
服屋冥利に尽きると思っています。
今回ご紹介したスーツは、残念ながらサイズの問題でもう着ることはできません。
それでも僕にとっては、これからもずっと大切な一着です。
捨てることは絶対にないでしょう。
いつか、このスーツを気に入って着てくれる人が現れたら、譲ってもいいかなとは思っています。
それまでは、ESSEVEにサンプルとして置いておこうと思います。
せっかく同じ工房でオーダーができるようになったわけですから、もし気になった方がいらっしゃいましたら、ぜひ実物をご覧になってみてください。
7年前の僕が、あれこれ悩みながら詰め込んだこだわりを、少しでも楽しんでいただければ嬉しいです。
それではまた。
ESSEVE PERSONAL TAILOR-MADE
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