ジャケット

安藤ひかる
安藤 ひかる | ESSEVEディレクター / アパレルバイヤー

こんにちは。ESSEVEの安藤です。

今回ご紹介するのは、私自身がオーダーしたダブルブレザー。

ブレザーと聞くと、まずネイビーを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

もちろん、ネイビーのブレザーは非常に汎用性が高く、ワードローブの定番として持っておきたい一着です。

一方で、今回私が選んだのは、あえてネイビーではなくチャコールグレーのウールフランネル。


落ち着いた色合いと柔らかな素材感を生かし、クラシックでありながら、どこか肩の力が抜けた一着を目指しました。

生地選びから仕立ての仕様、ボタンや裏地の組み合わせまで、今回のオーダーでこだわったポイントをご紹介します。

 

 

 

生地と色の選定:CANONICOのチャコールグレー

01. 生地はCANONICOのチャコールグレー・ウールフランネル

今回選んだ生地は、イタリアの老舗服地メーカー、VITALE BARBERIS CANONICO(ヴィターレ・バルベリス・カノニコ)の目付270g/mのSupers120's ウールフランネル。

フランネルの魅力は、表面に感じられる起毛感と、ウールならではの柔らかな風合い。

光沢を前面に出した生地とは異なり、光を穏やかに受け止めるマットな表情が特徴です。

そのため、ダブルブレザーの持つクラシックな雰囲気を保ちながらも、堅苦しくなりすぎず、自然体で着こなせる一着に仕上がります。

色はチャコールグレー。

グレーの中でも深みがあり、ブラックほど重くなりすぎない絶妙な色合いです。

ネイビーのブレザーであれば、爽やかさやトラディショナルな印象が強くなりますが、チャコールグレーなら、よりシックで落ち着いた雰囲気を楽しめます。

また、グレーは合わせる色を選びにくいのも魅力。

特に私が好きなのは、ベージュやブラウンといった、温かみのある色との組み合わせです。

チャコールグレーの持つクールな印象に、ベージュやブラウンの柔らかさが加わることで、全体のバランスが取れたスタイリングになります。

 

02. ブレザーはネイビーだけじゃない

ブレザーというと、ネイビーの生地に金ボタンや銀ボタンを合わせたスタイルが定番です。

アイビーやトラッドの文脈では、欠かせない組み合わせだと思います。

ただ、個人的には、もう少しシックにブレザーを楽しみたいという気持ちがありました。

そこで選んだのが、チャコールグレーのフランネルに、主張を抑えたシンプルな銀ボタンという組み合わせです。

ダブルブレザーならではの存在感はありつつも、色と素材、ボタンの選び方によって、装飾的になりすぎない印象に。

いかにもブレザーらしい着こなしだけでなく、グレーのスラックスやベージュのチノパン、ブラウン系のパンツなど、さまざまなアイテムと合わせることを想定しています。

定番のネイビーを持っている方にとっても、次の一着として、グレーのブレザーは面白い選択肢ではないでしょうか。

 

 

仕立てとディテールへのこだわり

03. 肩パッドを省き、マニカカミーチャで軽やかに

今回の仕立てでこだわったポイントのひとつが、肩まわりの仕様です。

肩パッドを入れず、袖付けは「マニカカミーチャ」と呼ばれる仕様を採用しました。

マニカカミーチャは、イタリア語でシャツの袖を意味する「マニカ」と、シャツを意味する「カミーチャ」を組み合わせた言葉。

一般的には、シャツのように柔らかな袖付けを指し、肩先に生まれる自然なギャザーや、柔らかな表情が特徴です。

構築的でかっちりとした肩まわりとは異なり、肩のラインに自然になじむような、軽快な雰囲気を楽しめます。

ダブルブレザーは、フロントの重なりやボタンの配置によって、どうしても重厚な印象になりやすいアイテムです。

だからこそ、肩まわりはできるだけ柔らかく。

見た目の軽やかさだけでなく、着たときの自然な感覚も大切にしました。

クラシックなアイテムだからといって、必ずしも重厚な仕立てにする必要はありません。

伝統的なデザインをベースにしながら、自分が心地よいと感じるバランスに調整できることも、オーダーならではの楽しみだと思います。

 

04. 裏地はブラウンを選択

表地がチャコールグレーなので、裏地にはブラウンを選びました。

表から見える部分だけでなく、服を脱いだときや、前を開けて着たときに見える裏地も、自分らしさを表現できるポイントです。

今回のように、チャコールグレーとブラウンを組み合わせることで、全体に統一感を持たせながら、さりげない個性を加えています。

私は普段から、チャコールグレーにベージュやブラウンを合わせるスタイリングが好みです。

モノトーンだけでまとめると、都会的でシャープな印象になりますが、そこにブラウン系の色を加えると、少し温かみのある表情になります。

こうした色の組み合わせは、ジャケットの裏地だけでなく、ニットやパンツ、靴、ベルトなどにも応用できます。

見えない部分まで自分の好みに合わせて選べるのは、既製品とはまた違ったオーダーの魅力です。

 

05. ボタンはマットな質感のシンプルな銀ボタン

ダブルブレザーの印象を大きく左右するのが、フロントに並ぶボタンです。

今回は、光沢を抑えたマットな質感のシンプルな銀ボタンを選びました。

ブレザーらしい銀ボタンを取り入れながらも、華やかさや装飾性が前に出すぎないものを選ぶことで、落ち着いた雰囲気にまとめています。

チャコールグレーのフランネルは、もともと表面の起毛によって柔らかな印象を持つ素材。

そこに強い光沢のボタンを合わせるのではなく、マットな質感を選ぶことで、生地の表情を邪魔しない組み合わせにしました。

小さなパーツではありますが、ボタンひとつで服全体の印象は変わります。

生地が決まったら終わりではなく、ボタンや裏地まで含めて、どのような一着に仕上げたいのかを考えることが大切です。

 

06. 袖口は本切羽の重ねボタン

袖口は、本切羽の重ねボタン仕様にしました。

本切羽とは、ジャケットの袖口に実際に開閉できるボタンホールを設けた仕立てのことです。

装飾としてボタンが並んでいるだけではなく、袖口を開けられる構造になっています。

今回は、そのボタンを重ねて配置する仕様を選びました。

袖口は、ジャケットを着ているときに意外と目に入る部分です。

フロントのボタンやラペルのように目立つ場所ではありませんが、こうした細部を整えることで、全体の完成度が高まります。

今回のブレザーでは、ボタン自体の主張を抑えているからこそ、袖口の重なりがさりげないアクセントになります。

 

07. 裏地は背抜き仕様に

裏地は、背中の下部まで全面的に覆わない「背抜き」仕様を選びました。

総裏仕様に比べて裏地の面積を抑えられるため、春や秋を中心に、比較的軽快な着心地を楽しみやすい仕様です。

もちろん、着用時の暖かさや快適さは、生地の厚みや仕立て、インナー、気温などによっても変わります。

今回の生地はウールフランネルなので、秋冬らしい素材感をしっかりと楽しめます。

その一方で、肩パッドを省いた柔らかな仕立てと背抜き仕様を組み合わせることで、見た目にも着心地にも軽やかさを持たせました。

重厚な印象になりやすいダブルブレザーだからこそ、こうした仕様の選択によって、自分の好みに合ったバランスに整えています。

 

 

着こなしとオーダーの醍醐味

08. どんなコーディネートで楽しむか

今回のブレザーは、チャコールグレーという色を生かして、ベージュやブラウン系のアイテムと合わせて楽しみたいと考えています。

例えば、ベージュのチノパンにブラウンのスエードシューズを合わせれば、落ち着きがありながらも軽快なスタイリングに。

ブラウンのウールスラックスを合わせれば、色のトーンに統一感が生まれ、よりシックな印象になります。

インナーも、白のシャツだけでなく、オフホワイトやベージュのニットなどを合わせることで、柔らかな雰囲気に仕上げられます。

一方で、グレーのスラックスと合わせて色数を絞れば、より都会的で洗練された着こなしも楽しめます。

ブレザーだからといって、必ずしもネイビーや白シャツ、グレーのスラックスといった定番の組み合わせに限定する必要はありません。

自分の好きな色や、普段のワードローブとの相性を考えながら組み立てていくことで、着こなしの幅は広がっていきます。

 

09. 自分の好みを少しずつ形にする

今回のオーダーで意識したのは、特別に目立つ一着を作ることではなく、普段からガンガン気回せる今後の定番アイテムを作ること。

一つひとつの仕様だけを見ると、小さな違いかもしれませんが、生地の色や質感、肩のつくり、裏地、ボタンなどを積み重ねることで、既製品を選ぶだけではなかなか得られない、自分の好みに合った一着に近づいていきます。

オーダーというと、体型に合わせてサイズを調整することが主な目的だと思われるかもしれません。

もちろん、サイズを自分の身体に合わせられることは大きな魅力です。

それに加えて、自分がどんな服を着たいのか、どんな雰囲気が好きなのかを、細かなディテールまで反映できることもオーダーの醍醐味だと考えています。

当店では、お客様の体型やご希望はもちろん、普段の服装やお手持ちのワードローブも伺いながら、一着ずつご提案しています。

まだ具体的なイメージが固まっていなくても全然大丈夫です。

好きな色や素材、こんな雰囲気の服が着たい、といったところから一緒に考えていくこともできます。

自分らしく、長く付き合える一着を。

ぜひESSEVEで、オーダーならではの楽しさを体験してみてください。

 

今回の仕様まとめ

生地 VITALE BARBERIS CANONICO / ウールフランネルSupers120's / 目付270m/g
カラー チャコールグレー
ジャケット ダブルブレスト / マニカカミーチャ / バルカポケット / パッチポケット  / シルバーボタン / 本切羽重ね

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安藤ひかる
PROFILE

安藤ひかる

セレクトショップにて7年ほどバイヤー、店長、YouTuberなどを経験し2026年に独立。
現在は名古屋でセレクトショップを運営。
「日々の衣食住を楽しみ人生を豊かにする!」をテーマに、自分の好きな事や物を発信していきます。